12日目 家族と最大限にモメる

カフェで過ごす

その日は夕方になってから、行きつけのカフェへ。

外は相変わらずの猛暑。全身を包むような蒸し暑さに、まるで頭を殴られたような気分です。
子供のころは夏が大好きだったのですが、今はただひたすら過ぎ去って欲しい、嵐のような存在に感じます。夏の匂いも、セミの鳴き声も、どうしてこんなに嫌いになてしまったんだろう。

というか、最近は脳の機能が低下しているのか、常に頭がどんよりと重く、本当に暑さに倒れてしまいそう。

カフェでは中学生の女の子が来店しており、マスターと雑談していました。
彼女は学校が退屈なのだそうで、
「とにかく学校がつまんないの!」
「もう楽しいことなんてなんにもない。早く高校行きたい」
「もう絵だけ描いて過ごしたいなー」
と、不満のオンパレード。
彼女なりに真剣なのでしょうが、なぜか思春期の愚痴って、どこか楽しそうな響きを感じがしてしまうのでした。

自分は「人と接するのがつらい―人間関係の自我心理学」という本を読みました。
対人関係について悩む人の例が書いてあり、参考になったけれど、うつになってしまった今読む本ではないかな……

父からのプレッシャー

夜。両親と晩御飯を食べていると、父から
うつ病ってのはストレスの要因から遠ざかると治るから、会社を辞めたらどうだ」
「会社の上司もうつ病になったが、原因がなくなったらすぐに治った」
「会社との話し合いはしてるのか?」
などの質問攻めに。

正直、無神経としか思えませんでした。

「今は回復する時期で、会社を続けるとか辞めるとか、そういうことは考えてはいけない」と、先生からも会社の人事からも言われています。
そしてそのことは親にも伝えてあるはずなのに、なぜこうも追い詰められるのか……。

そのことをうまく回らない頭で伝えると、
「それじゃあその回復期はいつまでだ?」
「部署が合わないなら、話し合うか辞めるかしかないじゃないか」
と、何度も結論を急がされます。

本当にそれは今は答えられないということ、正直会社の進退に関しては口を出さないでほしいことを伝えました。
会社に関しては「続けたい」と「辞めたい」のせめぎあいで、今結論なんて出せるわけがないからです。
するとなぜか
「人が心配しているのに何だその態度は」
と逆ギレされる始末。

父の顔をコブシでぶん殴りたくなった瞬間に、頭にひらめいた2つの確信。
それは、
「自分は父が嫌いであるということ」
「うちの両親は、うつ病患者を東尋坊へ追い詰める可能性があること」
ということ。

また、「うつ病は脳の機能障害だから、会社を休めばすぐ治るというのは間違い」と指摘しても、「うつは気分の問題だから、脳なんて関係ない」と一蹴されてしまいました。
どうやったらこの宇宙人に、今の自分の「頭がどんより重い状態」を理解してもらえるのでしょうか……

昔から父は自分の常識=世界の常識と思っているフシがあって、子供の頃、お腹が痛くなったので父に相談すると
「右のみぞおちが痛い?そんな場所が痛むのはありえない」
と、医者でもないのに決めつけ、
クイズ番組でタレントが答えを間違えれば
「こんな常識も知らないなんて馬鹿だな」
とあざけるような人間でした。

経済的にも精神的にも自立できていない自分ですが、このうつ病が治ったら、今のワープア水準の給料でも良いから家を出ようと思いました。
(うーん、「うつ病の経過報告を細かくまとめて、自分にも他人にも助けになるブログにしたい」と思っていたのに、家族のゴタゴタは、他人からすると一番見たくないものだよな……でも吐き出すとスッキリするな……)

もっとも、自分は恵まれている方なのかもしれません。世の中には、うつ病になっても親から
「頑張れ!やればできる!」
うつ病なんて気のせいだ」
と叱責された人もいるみたいです。

「一緒に死ぬしかない!」母親の無理解に苦しんだ日々…

(あ、でも自分も、親に仕事の事を相談しても、「辛くても頑張るしかないよ」「やりたいことにつながるんだから頑張ろう!」と言われるだけだったな……)

会社の人たちからメール

夜、スマホをみると、会社の人たちからメッセージが来ていました。
どうやら、自分の休職が社内で発表されたようです。
「人事発令みたんですけど、休職しちゃったんですか?」
「なにかあったんですか? 大丈夫?」
ああ。今の自分にはとても救いになりました。
隠してもしょうがないので、正直にうつ病になってしまったことを伝えると、
「ゆっくり休んで。待ってるからね」
「なにかあったら連絡してね」
と、心から嬉しい言葉返ってきました。

やっぱりあの会社には、簡単に「辞める・辞めない」を決められない、不思議な魅力があるなと実感。

自分の会社では、退職する人はみんなの前で軽く挨拶をするのですが、みんな口をそろえて「会社の人が良い人ばかりだった」と口にします。
「前の会社では普通に足の引っ張り合いがあったけど、ここではなかった」
「派閥とか社内政治みたいなのが全然なくて良い」
「他の部署の人と話すという習慣すらなかった」
など。

今の自分はどうあっても、自分の心が最優先です。「他人のことなんて一ミリも考える余裕がない」と断言できるほど、自己中心的でわがままな状態です。
でも、会社の人たちの気遣いは本当に嬉しかった。今の仕事を続けるかどうかはまったく別の話だけど、
「またあの人たちに会いたいな」
と思えたのは幸せだと感じました。

自分は今の会社に入る時、
「辞める時はきっちりと辞めよう(=バックレはしない)」
「最終日にきちんと挨拶をして辞めよう」
と勝手に決意していたのですが、その決意は果たせるのでしょうか。

今日の座禅

父とのやり取りですごく心が乱れましたが、あまり怒りを感じることなく、30分座禅できました。